季節ごとの旬な果物で楽しませてくれるのがミャンマーのいいところ。
一年を通じ、いつでも食べられるバナナのこと知りたくないですか。
ミャンマーでは、なくてはならない存在なんですよ。
果物の王様だ、女王だともてはやされるものもありますが、バナナは誰からも愛される国民的アイドルだと思います。
バナナはビルマ(ミャンマー)語でガピョーディー ငှက်ပျောသီး といいます。
だいたい1房か1房の半分、または数本単位で売られています。
今回はそのバナナを紹介します。
雑貨店などではバラ売りもされています。
1本から買えるので小腹が空いた時にはありがたいです。
日本でバナナといえば、フィリピンか台湾からのものがスーパーに並んでいると思います。
どれも細長くて黄色い皮ですよね。
でも、ミャンマーでは見た目もさまざま、好みに応じて買うことができます。
ミャンマーで主に売られているのは、ざっと6種類です。
1 ティームェ သီးမွှေး
2 ピージャン ဖီးကြမ်း
3 ガピョー チン ငှက်ပျောချဉ်
4 ヤカイン ရခိုင်
5 シュエ ガピョーディー ရွှေငှက်ပျောသီး
6 ゴェ ガピョーディー ငွေငှက်ပျောသီး
では街中でよく見かける順に、ひとつずつ見てみましょう。
1 ティームェ သီးမွှေး
「香る果物」という意味のティームェと呼ばれるバナナは、日本でよく見るタイプそのもので、味も遜色ありません。
バナナは花が咲く果軸に、複数の房が段をなしていきます。
だいたい6~7房実り、1房に12 - 14本のバナナができるそうです。
このティームエのほとんどは、皮が黄色です。
でも、皮が緑色のものもあり、呼び方が異なります。
皮が黄色だと、ティームェ アコンワー သီးမွှေးအခွံဝါ
皮が緑色だと、ティームェ アコンセイン သီးမွှေး အခွံစိမ်း
恥ずかしながら、皮が緑色のものがあることを知りませんでした。
見かけたこともあるはずですが、それはまだ熟していないのだと思い込んでいました。
先日、路上市場で、緑色のティームェ アコンセインの存在に気づきました。
売っていたおばさんも「甘いわよ~」と自信たっぷりにおすすめするので買ってみました。
ほんと、甘くて美味しかったです。
50代の知人が子どもの頃、ティームェといえば緑の皮のバナナを指していたそうです。
黄色の皮のバナナは珍しく、インドから来たので、カラーティーと呼んでいたとか。
ちなみにカラーとはインドの蔑称です。
その後、国際市場では黄色い皮のバナナが主流なこともあって、ミャンマーも変わっていったのだと思われます。
2 ピージャン ဖီးကြမ်း
「粗くて太い」という意味のとおり、ぽってりとしています。
角ばっているのが特徴で、日本では三角バナナと呼ばれているものです。
味は少し酸味があり、お菓子などによく使われています。
仏教や精霊信仰の儀礼、ヒンドゥー寺院でお供物のひとつとして、このピージャンがよく用いられています。
お供物はあとで持ち帰り、食べてもいいので、食べてみたら種が多かったです。
野生のピージャンには種があるそうです。
このバナナは果軸に6~11房でき、1房に10~15本ほど実ります。
育てやすく、少々手荒に扱っても傷みにくいそうです。
バナナを売っている人が教えてくれたのですが、下痢の時、ピージャンを食べるとよくなるそうです。
また、太りたい人が食べるんだそうです。
このバナナを食べると力がでると友人は言っています。
ミャンマーではこのピージャンと上に書いたティームェを一緒に売っていることが多く、どこでも買うことができると思います。
3 ガピョー チン ငှက်ပျောချဉ်
「酸っぱいバナナ」という意味のとおり、味は酸味があります。
甘さ控えめで、糖尿病の人に好まれて食されていると、お店の人が教えてくれました。
小さくて食べやすいです。
けれど、皮が薄いので、熟してくると剥くのがちょっと大変です。
このバナナは食用で、お供物にはならないそうです。
4 ヤカイン ရခိုင်
ミャンマーの州名がついた「ヤカイン(ラカイン)」という名前のバナナ。
ヤカイン州でとれるわけではありません。
エーヤーワディー地方域でとれ、現地ではイエティと呼ばれているそうです。
でもヤンゴンでは「ヤカイン」と呼ばれているのはなぜだろう。
知人に聞いてみると、この種類のバナナもお供物によくもちいられていて、「ヤカイン」は「確実に得られる」という意味でもあるため、このお供えによって「願いが確実に得られる」という語呂合わせから、そう呼ばれるようになったのではないかと言っていました。
見た目はガピョー チンに似ており、小ぶりで甘いです。
日が経って皮が黒くなると、とても甘くなります。
これも皮が薄いので、熟すと剥くのに手こずります。
昔は、ヤカインとガピョー チンがよく食べられていたそうです。
でも現在、見かけるのは、ティームェとピージャンばかり。
そんな中、今も年長者がわざわざ買い求めていくそうで、根強い人気があります。
5 シュエ ガピョーディー ရွှေငှက်ပျောသီး
ミャンマーでは「黄金のバナナ」と呼ばれ、高級バナナという共通認識があります。
海外ではレッドバナナと呼ばれています。
シュエ ガピョーディーは、成長に時間がかかり、あまり多く実らないそうです。
また、運搬などで傷がつきやすく、扱いに気をつけなければなりません。
そんなことから高額で、あまり流通していません。
皮は赤茶色ですが、中の果肉は通常のものと同じで薄黄色です。
どのバナナよりも大きく食べごたえがあります。
食用というよりは、お供物として売られています。
確かに、このバナナは特別感があって見栄えがしますよね。
6 ゴェ ガピョーディー ငွေငှက်ပျောသီး
「銀のバナナ」という意味のこのバナナはシュエ ガピョーディーよりも出回っておらず、路上のバナナ売りの人も入手困難だと言っていました。
一度も食べたこともなければ、見たこともないので、バナナの問屋街へ行ってみました。
シュエ ガピョーディーと同じような形と大きさで、皮が緑色のバナナがありました。
それが探していた、ゴェ ガピョーディーでした。
熟してくると、皮は緑から黄色に変わっていきます。
ゴェ ガピョーディーも収穫まで時間がかかり、扱いに気をつけなければならないそうです。
そんなことから育てる人が少ないのだとか。
主に、食用ではなく、お供えとして流通しています。
珍しいゴェ ガピョーディーなので、試しに1房購入して食べてみました。
バナナ特有のねっとりとした粘り気が少なくて、さっぱりしていました。
私には美味しかったです。
もしかしたら、貴重なバナナだというフィルターを通しているからなのかもしれませんが……。
お菓子や料理の具材に
伝統的なミャンマーのお菓子には、バナナを使っているものが多くあります。
路上でも売られているので、気軽に食べられます。
小さく刻んだバナナと米粉をバナナの葉に包んで蒸した「ガピョーモン」は、あっさりとしています。
ピンク色の果肉がバナナです。
バナナは蒸すとピンク色に変わって、綺麗ですね。
バナナともち米をバナナの葉に包んで蒸した「ガピョーディーカオニントウッ」は、食べごたえがあります。
なんせ、もち米なので腹持ちがいいです。
別途、削ったココナツもくれるので、それと一緒にいただきます。
「ガピョーディ プディン」と呼ばれる固めのバナナプリンは、甘酸っぱくて美味しいですよ。
上の3つのお菓子は、同じ路上のお店で買いました。
どのお菓子もピージャンを使用したとお店の人は言っていました。
バナナの実だけが食べられている訳ではありません。
国民食の麺料理・モヒンガーの具材に欠かせないのがバナナの茎(ガピョー ウー)なのです。
サクサクとしていて食感がおもしろいです。
モヒンガー屋の店主に、このバナナの茎を入れないでという人がいるか聞いてみました。
「入れないで」と言う人はあまりおらず、どちらかというと、「茎を多めにして」とリクエストする人の方が多いそうです。
市場に行けばこんな風に売られています。
さらにバナナの花のつぼみ(ガピョー プー)はサラダになるそうです。
普通に市場でバナナの花のつぼみ(ガピョー プー)を見かけますよ。
スーパーやコンビニ、雑貨店に行けば、ドライバナナチップも売られています。
これは常備するほど、私は大好きです。
まだ青いバナナ(写真左)と熟したバナナ(写真右)の2種あります。
バナナの種類が何なのか、残念ながら、そこまでは表記されていませんでした。
さて、インド料理のお店へ行けば……
このようにバナナの葉がお皿として使用されています。
葉っぱで食べる方がなぜか美味しく感じられます。
本当にバナナはミャンマーで大活躍しています。
・・・・・
最大都市・ヤンゴンの街中でも、ちょっとしたスペースがあるとバナナが植えてあります。
上下の写真は、僧院の敷地内で見かけました。
こんなにバナナと向き合うことがなかったのですが、今回、いろいろ調べて勉強になりました。
バナナは木ではなく、草だということを知りました。
果樹ではないので、一度、実がなるとそれで終わり。
もう実をつけないのだそうです。
バナナの皮を剥けば簡単に食べられて、そして美味しくて、栄養たっぷり。
ミャンマーの家庭では房ごと買って、ヒモで吊るしている光景をよく見かけます。
なくなりそうになると、うまい具合に家までバナナ売りが向こうからやって来てくれます。
バナナがなくなるとちょっと落ち着かない。
あるに越したことがないので、つい買ってしまいます。
なんともかわいい存在です。
もう、バナナのこと「果物のアイドル」と呼んでもいいですよね。
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